不動産の資産価値は、基本的に建築から時間が経てば下がってしまいます。そのため、不動産売却では損失が出てしまうケースがほとんど。
しかし、不動産売却による損失は減税措置によってカバーすることが可能です。今回は、不動産売却時で損失が出た場合の減税について解説します。
不動産売却で損失が出てしまった……そんなときは?
不動産売却を行う以上は、「できることなら利益を出したい」「損失を小さくしたい」と考えるのは当然でしょう。しかし、土地や物件がよほど好条件でない限りは、売却価格が購入金額を上回ることはありません。
不動産売却によって損失が出てしまうのは仕方がないことではありますが、発生した損失は確定申告をすることでその他の所得と相殺して所得税や住民税の控除を受けることができます。
また、損失の金額によっては最長で4年間の所得税・住民税が軽減される「譲渡損失の繰越控除」という特例を利用することも可能です。
譲渡所得の繰越控除には2種類の適用条件があります
譲渡所得の繰越控除には、住宅を「買い換えたとき」と「譲渡したとき」の2種類に分けられます。
繰越控除を利用するための条件について、それぞれ確認しておきましょう。
住宅を買い換えたときの減税措置の適用条件
住宅を「買い換えたとき」は、【売却する住宅】と【買い換える住宅】の2つのポイントを考える必要があります。
まず、売却する住宅については、売却年の1月1日時点で所有期間が5年以上でなければいけません。なおかつ譲渡損失が発生し、その年の他の所得と通算しても赤字が生じている場合に限ります。
また、売却した住宅の敷地面積が500㎡以上のケースでは、500㎡までが対象となるため注意しましょう。
次に買い換える住宅については、以下の条件を満たしている必要があります。
1)所有する住宅を売り渡した翌年の12月31日までに新しい住宅をローンで購入すること
2)住宅を先行取得する場合は、翌年の12月31日までに所有する住宅を売却すること
3)買い換える住宅の面積を50㎡以上は居住スペースにすること
4)買い換え後の住宅ローンが10年以上であり、減税措置を受ける年末に残債があること
この特例は住宅ローン減税制度と併用が可能ですが、所得が3,000万円を超過する年は特例の適用外となります。
住宅を譲渡したときの適用条件や所得制限など
住宅を譲渡したときの適用条件は以下の通りです。
1)売却年の1月1日時点で所有期間が5年以上
2)(A)譲渡損失が生じている
(B)売買契約を結ぶ前日までの残債が譲渡額を超えている
2)の条件に関しては、AかBのいずれか損失が少ない方の金額が損益通算、加えて繰越控除の対象となります。ただし、特例を受ける3年の間、所得が3,000万円を超過する年は特例の適用外なので注意しましょう。
繰越控除は2022年も利用可能?
譲渡損失の繰越控除は特例として定められているため、2022年に利用できるのか気になるという方も多いはず。2021年12月24日に閣議決定された、令和4年度の税制改正の大綱によると、買い換える住宅に関する条件の変更などはあるものの「売却益の繰延べ制度」や「譲渡損失の繰越控除」の2年延長が示されています。
税制改正大綱は、あくまで改正の見通し示すものではありますが、通常は大幅な内容変更が行われることはほとんどありません。これから、制度がどのようになるのかしっかりとチェックしておきましょう!
不動産売却で損をしないためにも!
不動産売却では損失が出るのが当たり前といっても過言ではありません。しかし、減税制度などを活用することで損失をカバーすることが可能です。
本当の意味で損をしないためには、情報網を張り巡らし、信頼できる不動産会社に相談することが一番。不動産の売却をお考えの方は、まずは専門的な知識を持った不動産売却のエキスパートに相談してみましょう。