不動産の売却を行う際、少しでも高く売るためにリフォームを検討する方も多いはず。確かにリフォームによって建物や部屋がキレイになっていれば評価額は高くなるかもしれません。
しかし、売却前にリフォームをすることが必ずしもプラスになるとは限りません。場合によっては売れにくくなったり、結果として損をしたりするケースもあります。
ここでは、不動産売却前のリフォームに関するメリット・デメリットなどについて解説します。
売却前の不動産をリフォームするメリット・デメリット
まずは売却予定の物件をリフォームするメリットとデメリットについて解説します。
リフォームして売却するメリット
物件の印象アップになる
物件の見た目や設備の充実度は購入の判断をするうえで大切なポイントです。
パッと見て「設備が整っている」「キレイで住みやすそう!」と思ってもらえるような家であれば、それだけ売却につながる可能性も高くなります。
また、見た目や設備に関する中古物件のマイナス要素を解消することで、高い値段で売りやすくなるのもポイントといえるでしょう。
購入者がそのまま住むことができる
もし、購入後にリフォームを行った場合、入居までに数ヶ月の期間が空くことになります。
しかし、リフォーム済みの物件であれば、購入者はそのまま入居することが可能です。そのため、何らかの理由ですぐに新居に引っ越したい方に物件を売りやすくなります。
購入者の融資にかかる負担が減る
家を購入してリフォームを行う場合、多くの購入者は「家の購入費用」と「リフォーム費用」のローンを組むことになります。
2つのローンを組むため手続きが煩雑になり、場合によっては融資を受けることが難しくなることもあるでしょう。
リフォーム済みであれば、融資の手続きも家の購入費用のみになり手続きも簡単なので、買い手がつきやすくなるケースがあります。
リフォームして売却するデメリット
売却価格が上がる
リフォームをすることで売却価格が上がることは売り手からすればうれしいことですが、その反面では中古物件のウリである「安さ」が失われてしまうことにもなります。
これによって、自分でリフォームをすることを前提に安い物件を探している人からは敬遠されてしまう恐れがあります。
リフォーム費用が回収できるとは限らない
フルリフォームを行うと、物件の規模にもよりますが数百万円以上の費用がかかります。しかし、リフォームとは原状回復の意味合いが強く、リフォーム費用を売却価格に上乗せした金額で売れることはほとんどありません。そのため、結果として損をしてしまう恐れがあります。
リフォームする際の注意点とは?
売却前のリフォームは、メリットとデメリットをしっかりと把握したうえで「いかに効果的なリフォームを施すか」という点が重要です。
ここでは、リフォームをする際に意識しておくべきことについて見ていきましょう。
ポイントを絞って費用を節約しておく
リフォームにお金をかけすぎると損をしてしまう恐れがあるため、古くなった設備、汚れや劣化がひどい水回り、壁紙・ふすま・畳などポイントを絞ってリフォームを行うようにしましょう。
また、見た目をキレイにするだけであれば、リフォームではなくハウスクリーニングを利用するのも一つの方法です。
シンプルでメンテナンスしやすいリフォームを
買い手がリフォームすることを意識して、自身の趣味や考えを反映させないようにしておきましょう。シンプルでメンテナンスがしやすい状態にしておくのが無難です。
リフォームの内容が分かるようにしておく
リフォームで物件がキレイになれば印象が良くなりますが、人によっては「リフォームで何かをごまかしているのでは?」と不安に感じてしまうこともあります。
そういった不安を解消するために、リフォームの内容が分かるような写真や書類などを残しておくようにしましょう。
リフォームして売却することで譲渡所得税の節約になるケースも
不動産を売却した際に譲渡所得(利益)が発生した場合は、その金額に応じて「譲渡所得税」を納めなければいけません。譲渡所得は以下の計算式で求められます。
譲渡所得=不動産の売却金額-(取得費+譲渡費用)
取得費とは売却した不動産の購入などにかかった費用、譲渡費用は不動産の売却に伴って発生した費用を指します。
通常、入退去に伴うリフォーム費用は譲渡所得に含まれません。しかし、買い主からの要請などで売却するためにリフォームを行った場合などは、リフォーム費用が譲渡費用として認められることがあります。このケースでは、譲渡所得からリフォーム費用を差し引くことができ、結果として譲渡所得税の節約につながります。
リフォーム費用が譲渡費用に含まれるかどうかは判断が難しいため、不安な方は事前に不動産会社に相談しておくと良いでしょう。
リフォームはメリットとデメリットを理解してから慎重に行いましょう!
売却前のリフォームは売れやすくも売れにくくもなる諸刃の剣。
メリットとデメリットを理解したうえで、損をしないための判断をすることが重要です。リフォームをするべきかの判断が難しい場合は、まずは不動産会社に相談してみましょう!