資金の確保やローンの支払いが難しいなどの理由で住んでいる不動産を売却するケースでは、「住宅を売却したいけれど今のまま住み続けたい」ということも少なくないはず。そういったときに検討したいのが「リースバック」です。そこで今回は、売却後もその住宅に住み続けることができるリースバックの内容やメリット・デメリットなどについて解説します。
リースバックとは？
リースバックとは、住んでいる住宅を売却したのちに買主と賃貸契約を結ぶことで、売却後もそのまま住み続けることができる仕組みです。また、リースバックには一定の条件のもとで売却した住まいを買い戻す「再売買予約権」を付けることもできます。
「慣れた家に住み続けたいが老後にも備えたい」「先行きが不透明で、住宅ローンの返済に不安がある」という方は、リースバックの活用を検討してみましょう。また、不動産相続によるもめごとを避けるためにリースバックを利用するケースも増えています。
ただし、リースバックを提供している業者によっては、「オーバーローン状態」「安定収入がない」「不動産が共有名義」という場合には利用制限を設けていることがあるため注意が必要です。
リースバックのメリット・デメリット
不動産を売却しながら慣れた住宅に住み続けることができるリースバックには、どのようなメリットとデメリットがあるのかをチェックしておきましょう。
リースバックのメリット
・慣れた住まいに住み続けることができる
売却後も、愛着のある住宅にそのまま住み続けられるのは、リースバックの大きな特徴でありメリットといえます。新居探しや引っ越しなどの手間がかからないのもポイントです。
・買い戻せる可能性もある
ただの売却とは違い、リースバックでは「再売買予約権」を付けることで将来的に住宅を買い戻すことも可能です。タイミングによっては、「一度リースバックをして、子どもが購入する」ということもできます。
・早く現金化できる
リースバックを行う場合は、基本的にリースバック業者が買主となります。そのため、仲介売却よりも現金化が早く手間が少ないのもメリットといえるでしょう。
・売却を周囲に知られにくい
売却後も今まで通り住み続けることで、売却したことを周囲に知られにくくなります。「なるべく売却することを知られたくない」という方はリースバックを選ぶのも一つの手です。
・固定資産税が必要なくなる
住宅を売却することで、所有権はリースバック業者に移ります。そのため、毎年課税される固定資産税の支払いが不要になります。
リースバックのデメリット
・売却金額は相場よりも安くなることが多い
リースバックでは、業者が投資用不動産として利回りを考えることや、リースバック期間終了後の不動産市場に対応するため、相場よりも安く買い取られることがほとんどです。そのため、場合によっては売却額が希望に満たないことも考えられます。
・リース料が高くなることも
リースバックのリース料は、売却価格の8～10％程度となるのが一般的です。そのため、周辺の家賃相場よりも高くなるケースも少なくありません。
・修繕費などの扱いに注意が必要
一般的な賃貸契約では、通常の消耗による設備の故障などは貸主負担で修繕が行われることが多くあります。しかし、リースバックでは、設備などの修繕費は借主が負担するように特約が結ばれているケースがほとんど。そのため、賃貸契約を結ぶ際は、修繕費や原状回復費の取り扱いについてしっかりとチェックしておくことが大切です。
・賃貸契約の更新が保証されているわけではない
リースバックの賃貸契約は、多くの場合「定期借家契約」で結ばれます。定められた期間が満了した後も再契約は可能ですが、必ず再契約できるとは限らない点に注意しましょう。定期借家契約だけでなく、普通借家契約があるリース業者であれば、このような心配はありません。
必要に応じてリースバックの検討を
リースバックを利用することで、不動産の売却を行いながらもそのまま住み続けることが可能です。ただし、メリットとデメリットをしっかりと見極めることが重要。高値が期待できる仲介売却やリースバックなどそれぞれの特徴をふまえて、どのような方法で売却するかを決めるようにしましょう。
