お役立ちコラム

不動産を子どもや配偶者に売却するとメリットがある!?

所有する不動産を子どもや配偶者に譲りたいと考えている方も多いでしょう。しかし正しい知識を持たずに不動産の譲渡や売買をしてしまうと、売買自体の費用は抑えられても、多額の税金が発生して損をしてしまうことも。そこで今回は、親族間における不動産売買のメリットと注意点を詳しく解説します。

不動産の名義変更は売却か贈与を行う

不動産の名義は、「売却」か「贈与」によって変更が可能です。売却では第三者への不動産売却する際と同様に金銭のやり取りが発生する一方、贈与は金銭の授受なく名義を変更できます。また、死後の贈与は「相続」と呼ばれます。

不動産は簡単に分割できないため、生前に売却または贈与しておくと相続トラブルを避けることが可能に。さらに生前贈与よりも、不動産売買の方が税負担の軽減につながるケースもあります。

親族間での不動産売買も、基本的な流れは一般的な売買と変わりません。ただし自由度が増す分思わぬトラブルに発展する恐れもあるため、正しい手順で売買を行いましょう。

不動産を子どもや配偶者に売却するメリットとは

「子どもや配偶者からお金を取って、不動産を売却するなんて……」と考える方もいるかもしれません。しかし、生前贈与よりも売却の方が双方にとってお得になることも。そこで、親族間での不動産売買のメリットについて解説します。

税金が安くなるケースがある

不動産を子どもや配偶者の名義に変更する際、不動産売却の場合は「譲渡所得税」、生前贈与の場合は「贈与税」、相続の場合は「相続税」と、手段によって課される税金が変わります。この中で、税金の負担を抑えられる可能性が高いのが不動産売却です。税の内容はそれぞれ以下の通りとなっています。
・譲渡所得税
売却価格から取得費と売却にかかった費用を差し引いて税率をかけた金額になります。取得費は、「不動産の購入代金と購入にかかった費用の合計額から減価償却費を引いた値」または「売却代金の5%」のどちらか大きい金額が採用されます。税率は所有期間により変動し、5年未満の場合は30%、5年以上の場合は15%です。

・贈与税
不動産にかかわる贈与税は、固定資産税評価額が適用されます。評価額が110万円を超えた場合は税金を払わなければなりません。110~200万円ならば10%、3,000万円以上であれば55%と税率が変動するのが特徴です。

・相続税
相続税は、遺産総額から基礎控除額を引き、税率をかけて計算します。基礎控除額とは、3,000万円と相続人数に600万円をかけた金額の合計です。相続税の税率も贈与税同様変動し、1,000万円以下では10%、6億円以上であれば55%となります。

家を手放さなくても良い

長年住んできた家を手放すのはさみしいもの。しかし、子どもや配偶者に売却すれば、いつでも愛着のある家に行くことができます。第三者ではなく、血のつながりのある子どもや信頼できる配偶者にマイホームを守り続けてもらえる安心感は、親族間で不動産売買を行うメリットといえるでしょう。

共有の持分売買もしやすい

相続などによって複数人で不動産を共有している場合、 持分売買で共有状態を解消できます。

例えば、長男と次男が半分ずつ土地を相続して、長男のみがその土地を使っているケース。次男は第三者にも自分の持分を売却できますが、全体で売却した場合と比べて価格は大きく下がります。しかし、土地全てを売却する場合には、共有者全員の了解を得なければなりません。

土地を使いたい長男と、第三者に土地を売ると買いたたかれてしまう次男で持分売買をすることで、双方にとってメリットがあります。これも親族間売買のひとつです。

子どもや配偶者に不動産を売却する際の注意点は?

親族間の不動産売買はメリットばかりではありません。損をしてしまう恐れもあるため、注意点についてもしっかりおさえておきましょう。

売却価格に注意

子どもや配偶者だからといってあまりに安い金額で不動産を売却すると、「みなし贈与」として税務署から贈与税を課されることがあります。不動産を子どもや配偶者に売却する場合でも、市場価格を確認して適正な売却価格を決定しましょう。

また、売買契約書の作成や登記手続きもしっかりと行わなければなりません。見知った相手だからとおろそかにしていると、税務署から疑いの目を向けられてしまいます。売主は翌年の確定申告で譲渡所得税の申告も忘れずに行うことが大切です。

控除や特例が使えないケースも

税金面では贈与や相続よりお得になることの多い親族間での不動産売買ですが、控除や特例が適用できない場合もあります。

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」では、所有期間にかかわらずマイホームを売却して得た譲渡所得から最高3,000万円までの控除を受けられます。しかし、この特例は親子や夫婦、生計を共にする親族、売却した家屋で同居する親族、内縁関係の人への売却では使えません。

住宅ローンの審査が厳しくなる

いずれは相続される不動産を売買する特殊なケースであることから、通常の不動産売買と比べて住宅ローンの審査が厳しくなることも。また、他の相続人ともめるリスクなどもあるため、金融機関は親族間売買の融資に積極的ではありません。

不動産担保ローンやプロパーローンが使える場合もありますが、金利が高くなってしまう恐れもあります。買主の方で十分な金額を用意できないならば、双方の合意のもとで分割払いの契約にするのも一つの手です。

状況に合わせて子どもや配偶者への売却の検討を!

子どもや配偶者への不動産売却は、愛着のあるマイホームを完全に手放す必要がなく、税金も生前贈与や相続より抑えられる可能性があります。しかし、控除や特例が使えない、住宅ローンが組みづらいなど、買主側に十分な金額がなければなかなか難しいのも事実。また、みなし贈与にならないようにすることをふまえつつ、第三者への不動産売却同様正しい手順と適正価格で売却することが大切です!

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